うつ病みの日々のあれこれ

うつ病みが日々のあれこれを綴ります

ブルシットジョブ

またか、とため息をつきたくなる話だ。

10兆円の大学ファンドが国会で審議されているとの件。

構想としては、国際的に低下した大学の競争力を上げるため、世界に通用するいくつかの大学に対して、基金の運用益を与えるというものらしい。

だが、ちょっと待ってくれ。現在、科研費以外の資金を調達しようとすれば、どれだけの労力をかけて申請書や実績報告書、それから定期的な審査を受けるための資料作成等々、ブルシットジョブ(クソ仕事)をこなさねばらないのか。そのために、研究そのものや論文執筆といった本来の仕事が妨げられている事実に、なぜ官僚は目を向けないのか。ブルシットジョブのせいでかえって人的時間的リソースが浪費され、それが結果としてこの国の研究力を押し下げられてしまったのに。

それから、この構想はいくつかの特定の大学単位で配分されるのだが、今は大学の垣根を(更には国を)越えた共同研究が主流なのに、いつまでそんな古い学閥意識で金を配分するのか。

私が関わっている研究は、国内数大学の共同研究プロジェクトだが、以前、プロジェクトリーダーの先生がZoomによる定期審査を受けている様子を録画で見せてもらった。本当に悲しいことに、研究のブレークスルーを理解している審査官は一人か二人だけで、文部科学省官僚らしき他数人は、実用性、耐久性、市場価値とかの傍論ばかりの質問しかしてこなかった。

今回の大学ファンドの件、採択されて自分の出身大学のブランド力を高めたいという文部科学省官僚の目論見がどうも透けて見える気がする。

研究資金の重点配分がいけないとは思っていない。ただ、今まで国の方針に従ってやってきた結果、世界から周回遅れになってしまったという事実の検証もなく、また同様の愚を重ねて研究現場を疲弊させるのだけは、もういい加減やめてくれ。世界では全く相手にされない程度の官僚や政治家は、もう学術研究を荒らさないでくれ。

 

以上。2022.05.12