うつ病みの日々のあれこれ

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通信制大学について2-放送大学の授業の中身-

(長文です。23:18更新)

先日、通信制大学放送大学について取り上げた。今日はもう少し授業内容について掘り下げてみたいと思う。

先日は「講義の質が高い」と書いた。人間と文化コースについて言えば、以下のような科目がある。

www.ouj.ac.jp

「導入科目」にある「人文地理学から見る世界('22)」では、主任講師は佐藤廉也(大阪大学教授)、宮澤仁(お茶の水女子大学教授)である。その他各コマの担当講師として、矢部直人(東京都立大学准教授)、祖田亮次(大阪公立大学教授)、池口明子(横浜国立大学准教授)、村山良之(元山形大学教授)の名が挙がっている。

他に、「コミュニケーション学入門('19)」では、主任講師は大橋理枝(放送大学教授)、根橋玲子(明治大学教授)、桝本智子(関西大学教授)、佐々木由美(慶応義塾大学教授)、花光由香(早稲田大学教授)となっている。

世間一般に「良い大学」と認知されているところの先生方が名を連ねているのがお分かりいただけるだろう。

また、「専門科目」の「中東の政治('20)」では、 主任講師は高橋和夫放送大学名誉教授、国際政治学者)が一貫して努めている。高橋先生は中東情勢の専門家であり、中東の戦争・紛争があると解説者としてTVニュース番組によく出演していたのでご存じの方もいるかもしれない。

これらは膨大な数ある授業科目のほんの一部だ。上に挙げたのは人文系の科目であり、他には社会系や自然系の科目もある。自分の仕事の専門分野の授業も覗いてみたことがあるが、およそ学部3年生レベルの授業だった。教養学部とはいえ、各コースの専門性は意外に高い。

授業の進め方に関しては、特にTVやweb配信の授業では、各地への取材やニュース素材映像をふんだんに使って手間をかけて作ってある。その一方でラジオの方は、一部の科目にテキストの棒読みに近いものがあって物足りなさを感じるのも事実だ。

単位取得までの流れはおよそ次のようになる。

まず履修科目を登録し印刷教材(テキスト)が送られて授業が始まると、15コマの中盤で「通信指導」がある。問題(小テストやレポート)を大学に郵送し、それが合格ならば最後の単位認定試験を受けられる。他には、web配信の授業では各コマごとに小テストがあってそれを各回受験する方式もある。

今はコロナ禍であるが、それ以前は、科目ごとに定められた時間割に従って学習センターに出向き単位認定試験を受けた。一部にはテキスト持ち込み可の科目があるが、そうでない科目では正直言って手ごわい。択一式の問題が多いが、一部に記述式や小論文型の問題もある。コロナ禍の現在では、自宅での受験となるのでテキスト参照ができて少し楽だと思う。

後日単位認定試験の結果が送られてきて、上からマルA、A、B、C、ここまでが合格で、不合格はDとなる。結果のランク付けは一般の大学と変わらない。

以上が放送授業(TV、ラジオ、web配信)の内容だ。

他に、面接授業がある。私は自分の地元の学習センターで行われる面接授業に加えて、近県の特色ある科目が楽しみだった。例えば'22開講の科目で挙げるとすれば、佐賀学習センターの「佐賀の歴史文化(人物編1)」とか宮崎学習センターの「中世の九州とアジア」あたりが面白そうだな、よし遠征しよう、となる。

開講科目一覧を全国見まわして面白そうな科目があれば、私の場合は本校の千葉幕張まで遠征したこともある。遠方まで遠征して、試験受けたりレポート書いたりでそれで1単位しかもらえないのはコスパ悪いと思うが、入学から卒業までの総費用は70万円ほどと、国立大の3分の1以下なので、面接授業で遠征しても十分に元は取れる。

授業科目の組み立ては、各コースで必要な単位数が定められている以外は各自の自由裁量だ。だから人文系の学生が自然系の授業を受けても全く構わないし、1学期に集中的に授業を取って、2学期はゼロというのも同様に構わない。

なので、2学期の間に週5日6時間のバイト続けると、翌年の授業料は楽に賄える。最低賃金時給821円のバイトだとしても、月に10万3千円、半年なら62万円の収入。一方で4年で卒業するなら年間に32単位取る必要があるが、そのための授業料は17万6千円であり、44万4千円のお釣りがくる。

このように、自分で主体的に授業を組み立てられる学生にとっては非常に融通の利くシステムとなっていて、それでいて講義の質が高く学費も安い。文部科学省所管・総務省所管なので、税金の投入があって成り立っているのだと思う。このような税金の使い方なら私は賛同する。議員の取り巻き業者の懐を肥やすのに比べれば雲泥の差だ。

ということで、大変長文になってしまった。個人的に放送大学、推しです。

 

以上。2022.07.05