うつ病みの日々のあれこれ

うつ病みが日々のあれこれを綴ります

帝国への回帰

ロシアのプーチン氏は自らをピョートル大帝になぞらえたがっている。中国の習近平氏はアジアの覇権を自らの手に握りたいと見える。イギリスはEUから脱退したがかつての大英帝国への郷愁があったのかもしれない。アメリカの共和党は'50~'60年代の黄金時代へ回帰したがっているように見える。一方で国内では、政権党は戦前帝国へ回帰するために造られた政党だ。

国際協調とかのきれいごとはもうたくさん、自己の利益追求のためにはどんな手でも使う。エゴイスト?違う、自己の権益を守るためだ。こんな方便ならすべてが片付く。

「守る」と国民に言い聞かせつつ、結局国民を「守りもしなかった」のが先の大戦の教訓ではなかったか。世界各国の帝国指向政治家も、国民を守るより自身の利益とか威厳とか価値観とか俗っぽく言えばメンツを守ることが第一、極端な言い方をすれば自己陶酔していたいのかとも思える。

帝国同士が覇権を争いぶつかり合うと大変なエネルギーの浪費が起こる。軍需産業は採算度外視で高性能の兵器を作ろうとする。性能を満たすためには大量の不良品が出ても構わないという姿勢だ。エネルギーと資源の大量の浪費の時代が訪れることになるが、さて、天然資源にどれだけの余裕があるだろう。

仮に第三次大戦が勃発したとする。全面戦争なら主要兵器は核兵器になるだろう。最初に誰かが核のボタンを押しさえすればあとは報復プロセスが自動的に進む。どれだけの数の核弾頭が使われるかはわからないが、その弾頭の向かう先はまずは敵国の主要都市だ。

プーチン氏はすでに核の使用を示唆している。ウクライナ一国に対してもその姿勢なのだから、帝国同士の全面戦争となればためらいはないだろう。

核弾頭の報復合戦の末にあるのは、放射能による荒廃や大量の粉じんによる核の冬だ。70億の人口のうちどれだけが生き延びられるだろうか。生き残った一握りの人たちを前に「我こそ覇道の勝者なり!」と言ったところでせいぜいメンツが立つだけではないか。失うものがあまりに大きすぎる。

悲観的なことばかりだが、このまま帝国が覇権を争うならば最もありそうなシナリオなのだ。

それを回避する方法は、帝国指向をやめさせる以外にない。欧米日の目論見が崩れたのは、ロシアへ同調する国々が思いの外多かったことだ。中国をはじめインドといった大国も同調した。インドも最近はヒンズー至上主義を掲げ権威主義傾向にあり帝国指向に近い。ロシアへの同調は各国の権威主義的傾向を表す一つの指標とも言え、結果としてそのような国々が多数存在していたということだ。

欧米日諸国は、自国の利益になる国ならない国を選別してはいなかったか。その国の政権が気に入らないから腹いせに報復を加えたりしなかったか。米国はとりわけ中南米諸国に対して露骨に介入してはこなかったか。日本のように満足な戦略もなく各国に大盤振る舞いする阿呆も困りものだが、露骨な嫌がらせは反発感情が生まれるだけだ。

そもそも米国の露骨な介入は、'50~'60年代に中南米諸国を自らの裏庭と見なして思うままに操っていたことに由来する。結局のところ、過去の帝国的振る舞いが世紀を越えて自らへの反発として別の帝国指向国家を利することになった。

他国に対する傲慢な振る舞いをしていては、帝国指向国家予備軍を増やすだけだ。自国第一を続けていては永遠の負の連鎖が続く。欧米日各国、自省が必要だ。

 

以上。2022.06.29