うつ病みの日々のあれこれ

うつ病みが日々のあれこれを綴ります

このドライバー、もしや

昨日の出張で、大学内での会議から繁華街の夕食会兼自由討論会会場へはタクシーに分乗して移動した。

運転手もご年配、車も最近では数を減らしつつあるコンフォートであるが、珍しかったのはオートマチックではなく5速マニュアルシフトだった。昔のタクシーでは燃費の関係で採用が少なかったオートマであるが、今では性能の向上でマニュアルから大半が置き換わっている。もちろんドライバーの負担軽減の点からもオートマを選ぶ割合が多いだろう。

それでもマニュアル車に乗務し続けているのはやはり経験からの馴染みによるのだろう。私自身もマニュアル車の運転は好きである。オートマ車だと、自分の意志ではもっと低い回転数で粘って欲しいのに、車の側ではCPUプログラムにしたがってすぐにシフトダウンしてしまって、思い通りの挙動をしてくれないもどかしさを感じたりする。

今でもマニュアル車に乗務しているのは、あくまで車の主人は自分であるという意思を貫こうとしているのかもしれない。その意思、私には尊重されるべきだと考える。ところが、最近のタクシー車両はもはやマニュアル車がラインナップされていない。エンジンやモーター、駆動系、電装品等あらゆるパーツが電子制御化および一体的に統合化されていて、マニュアル変速機のような機械制御を組み込むと余計に制御が複雑化してしまうのかもしれない。

そして、昨日の年配ドライバーには変速にかなりの癖があった。1速から2速の変速タイミングは普通なのであるが、2速以上ではタコメーターの読みで4000rpmあたりまで引っ張ってシフトアップしていた。市街地走行の速度50km/hで3速までしか使わなかった。私もマニュアル車に乗るが、4000rpmまで引っ張ってシフトアップというのは、排気量の小さな軽自動車ではアリだと思うが、コンフォートの2000ccではそこまで回さなくても余裕で加速できそうなものだろうにと思った。

そこでふと気づいた。このドライバー、もしや若かりし頃、けっこうな走り屋ではなかったのか?と。40年ぐらい前にはハコスカあたりでブイブイ言わせていたのではないか?と。

当時の車は電子制御はわずかに燃料噴射ぐらいで、ほとんどが機械制御だった。あくまで車の主人はドライバーであって、その意思の通りに走らせる以外なかった。燃費重視の低回転域ではなく、全回転数領域までエンジンを回してその感覚を楽しむことができた。

このドライバー、走りに関して話を振ったら饒舌に語ってくれるかもしれない。残念ながら乗車時間は10分余りでその話はできなかった。次回訪問時に同じドライバーに出会える確率はほんのわずかだと思う。けれど、もし運が良ければ長い距離を乗って話を聞いてみたいなー。そんなことを思った次第。

 

以上。2022.07.24