うつ病みの日々のあれこれ

うつ病みが日々のあれこれを綴ります

通信制大学について

政府が「学び直し」と称して社会人の再教育に力を入れようとしている。今の政府のやることだから教育業界から利益誘導のための多額の献金があったためと推測する。今働いている人のうち、学び直しができるだけの時間とお金がある恵まれた人はどれくらいいるだろう。甚だ疑問だ。

現実問題はさておき、仮に学び直しができる環境であれば、通信制の学校は使い勝手が良い。昼間は仕事をしているので、キャンパスへの登校は無理だ。夜間開講のセミナーであれば良いかもしれないが、以前に比べるとそのような夜学は随分と減ってしまった。

私はずっと技術畑を歩んできたが、携わっている仕事が組織内で独立採算制になるかもしれないということになり、必要に迫られて会計や簿記の知識を仕入れるため、放送大学編入学した。学部は教養学部しかないが、自然系から人文系まで6つの専攻があり(現在は6コース制)、そのうち社会系の専攻を選んだ。

授業は衛星のTVとラジオで(今はネット動画でも)行われ、半年15コマで2単位となる。放送授業の他に、全国の学習センターで面接授業(普通の学校で行われる形態の授業)があり、主に土日に集中的に授業が組まれて8時限で1単位となる。放送授業と面接授業の組み合わせ、専攻によって必修科目と選択科目の組み合わせを自分で組み立てて単位を取得してゆく。一般の大学では4年次に卒業研究などがあるが、遠隔授業である点から放送大学ではそれに代えて授業単位を6単位積み重ねることになる。

一説によれば、放送大学入学者のうち、定められた年限で卒業できるのは全体の3割ほどとのこと。入学試験がない代わりに卒業するのが難しく、この点は欧米の大学に近い。私の場合は3年次編入学だったが、卒業まで4年かかった。仕事しながら、授業受けてレポート書いて試験受けて、となればそのくらいかかるのは標準的らしい。

私が経営系や会計系の授業を受けている間に、さきの独立採算制への移行の話は立ち消えになった。そのせいでモチベーションが激減した時期もある。ただ、各地の学習センターの面接授業はその地域のコアな題材を扱うので、私はそれが楽しみで続けることができた。

通信制のデメリットは、通学しないので友達ができないことだ。一般の大学のキャンパスライフとは大きく違い、学生間の横のつながりが持てない。各学習センターにはサークル活動があるが、一般の大学ほど活発に活動している様子ではない。これは学生の年代も置かれている環境も違うので仕方ないことだと思う。

メリットとデメリットを勘案して、私の場合にはメリットの方が勝っていた。「入学試験のない大学なんて」という声も聞こえるが、卒業の難しさを理解したうえで言ってほしい。専門分野外のことを専攻したこともあり、20代で卒業した大学よりも大変だった。

あ、今一つ気づいた点、高齢の偏屈な学生が事務にクレームを入れることが多くて、学習センターへ事務手続きしに行ったときに待たされることが多い。これもちょっとデメリットだったかな。

総じて、講師の質が高いのに授業料は安く済む。高校卒業生の立場で、無名の私立大学に高い授業料で通うのとどちらが良いだろう。明るいキャンパスライフが第一の目的でないなら、放送大学を選んでも良いのでは。社会人の学び直しに限らず、活用しない手はないと思う。

 

以上。2022.07.03