うつ病みの日々のあれこれ

うつ病みが日々のあれこれを綴ります

ワイドFMとスポラディックE層

TVが地上デジタルに移行したことで、アナログTV時代のTV1ch~3ch(90MHz~108MHz)に空きができた。そのうちの90MHz~94.9MHzをFMラジオの周波数として使う、いわゆるワイドFMが2014年から開始されている。

全ての民放AMラジオ局がすでにワイドFMの放送を行っていて、将来全面的にFM移行する方向の局も多い。ただ北海道と秋田県はFMへの全面移行はせずAM放送も存続するとのこと。FM放送は1送信所あたりのカバーエリアが広くない。広い面積をカバーしなければならない北海道では特に多数の中継局が必要となり経費面で難しいという。

各ラジオ局のサービスエリアマップによると、現時点でFM波のエリアはAM波の半分程度というところが多い。総務省のwebページに民放FM局・ワイドFM局の状況がまとめてある。

 

www.soumu.go.jp

データが1年以上更新されていないが、まだワイドFMの送信所の数は既存民放FM局に比べて少ない。

2013年まで日本のFM放送の周波数帯は76.0MHz~89.9MHzだった。これは国際的に例外的な周波数帯であった。ロシアや東欧を除き、世界的に一般的なFM放送の周波数帯は87.5MHz~108.0MHzである。90MHz~94.9MHzをワイドFMに使うことで世界標準に一歩近づいたことになるが、そうなることで時に困ったことも起こりうる。

春から秋にかけて、しばしば電離層の異常(スポラディックE層)により本来のサービスエリア以外の地域の放送が混信してくることがある。サービスエリア外、国内に限らず海外のFM波も入ってくる。従来なら76.0MHz~87.4MHzは海外のFM局が使用していない周波数であったので、海外局との混信は起こらなかった。だが、周波数帯域が諸外国の常用している範囲に広がったことでワイドFM放送に外国局が混信する例が増える。

スポラディックE層は経験的に春から秋に多く発生するが、事前に予測はできない。したがって、普段通りにワイドFM局を聞いて楽しんでいると、突如中国語や韓国語のFM放送に置き換わってしまい「いったい何事?!」と驚くことになる。

このスポラディックE層、FM局にとっては悩みの種だが、個人の趣味レベルでは普段聞けない地域のFM局が聞ける楽しみがある。私は中国語がわからないので、海外FM局よりも国内遠方のFM局が入るのを楽しみにしている。私の地域から札幌までは1500kmほどの距離があるが、まれに90.4MHzのSTVラジオが聞こえる。ローカルCMとか天気予報とか、普段は全く聞けない放送が聞こえるのは楽しい。

現在では全国のラジオはradikoプレミアムでいつでも自由に聞くことができる。なので放送内容を楽しむにはradikoプレミアムで聞くのが早道だ。同様に台湾などでもFM放送のストリーミング配信をしている。わざわざスポラディックE層を期待してラジオのチューニングをぐりぐりする必要などない。

必要はないのだが、いつ起こるかわからない現象を捉えるのはスリリングだ。ネット環境で100%クリアに聞けるより、信号強度の浮き沈みにはらはらしながら耳を澄ます。どこか真夏の陽炎を追いかけるような、そんな少年チックな心地でもある。

 

以上。2022.07.10