スマホのヘッドホン出力をライン入力に
スマホのヘッドホン出力をケーブルでカーオーディオのAUX INに直接つなぐと、スマホ側のボリュームを最大にしないと満足な音量が得られない。これは、スマホ側とオーディオ側の信号レベルとインピーダンスの違いによる。
カーオーディオから外したスマホをうっかり鳴らすと、爆音にびっくりすることがあるので、秋月電子のキット
ST−32使用ヘッドホン出力⇔ライン入力昇圧トランスキット: 組立キット(モジュール) 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
を購入して、マッチングを図る。
結果、スマホ側のボリュームは60%程度のところで十分な音量が得られるようになった。爆音でびっくりということにはもうならないだろう。トランスST-32のデータシートによると、低音側では出力が低くなる曲線が載っていたが、聴いていても変化は感じなかった。
ST-32なんて、’80年代には1個200円位で手に入り、巻線比の違う多数の種類のトランスがラインナップされていて、電子工作好きにはごくありふれた存在だった。しかし、今では価格が4倍にもなり、また他の型番のトランスはもう滅多に見かけることがなくなった。アナログ系デバイスの入手が難しい時代になった。
10数年前には極々ありふれた存在だったトランジスタ2SC1815も、東芝が生産停止し入手が難しくなった。(台湾メーカーが後発品を造っているが、品質はいかがなものか?)
またその頃に出版された無線系工作本の物を作ろうと思っても、使われているICがもはや手に入らない。
その代わり、PCのUSBにドングルを挿して、ソフトフェア制御で広帯域オールモードの受信機ができてしまう時代だ。
自分の感覚からすると、個々の素子がどんな働きをしているか、目で見てわかる回路の方が面白い。そしていくつものポイントを調整して性能を最大限にする作業が楽しい。デジタル制御になると、ブラックボックス化してしまいその楽しさがなくなってしまう。制御プログラムのソースコードは開発したプログラマにしかわからないことも多くて、素人が見様見真似でいじられるものではなくなった。
創る側がどんどん専門的になって、入門者のハードルが上がってしまっている。このまま作り手とユーザーの間が二極化してしまうのは、新しい創造性を生むのに好ましい状況とは思えないのだが。
以上。2022.05.14