うつ病みの日々のあれこれ

うつ病みが日々のあれこれを綴ります

「一時的なもの」と思い続けて30年

バブル崩壊以後30年あまり経過した。崩壊が始まった'91年から'92年にかけて、景気後退は「一時的なもの」と経済界も政界も言い続けていたのを思い出す。

その後今に至るまで30年も衰退が続くとは誰も思っていなかったに違いない。衰退だと思いたくないので、現実から目を背けて、戦後最長の景気拡大と言い続けていた人すらいた。現に勤労世帯の手取り収入が減り続けているにもかかわらずだ。

そして、今現在のインフレも「一時的なもの」という言葉で済ませようとする日銀総裁がいる。暴落と言っていいほどの急激な円安は、主に日本と他国の金利差によるもの。日本国内で円で資金を持っているより、海外に持ち出してドルなりユーロなりで銀行に預けた方が有利だから。その流れで国内から資金が逃避していっている。

ゼロ金利を続けている限り、そして海外の金利高が収まらない限り、円安に歯止めはかからない。海外の金利高がはたして「一時的なもの」なのだろうか。答えを知っている人はいないはずだけれど、何を根拠に「一時的」と言い切れるのだろう。不思議だ。

円安は「一時的なもの」だから、インフレは「一時的なもの」だから、と10年先20年先も言い続けるかもしれない。いや、実際そう言い出しかねないので怖ろしい。バブル崩壊を「一時的」と言っていた先例があるから現実化しそうでなお怖い。

この円安で、ドル換算一人当たりGDPは更に減少したはずだ。G7?え?日本は先進国?御冗談を、これからG6で行きましょうや、と欧米首脳が言い合っていそう。

輸入原材料が高騰しているならば、価格転嫁しても構わないのではないか。人件費を削ってまで現状価格にこだわるのが良い企業なのだろうか。輸入資材がこれだけ高騰しています、企業存続のためにはこれだけ値上げをせざるを得ません、と説明責任を果たして消費者を説得できれば良いのではないか。消費者としても、企業を潰してまで安い商品を求めたいわけではない。

良識を働かせた結果として生活が苦しくなったら、責められるべきは政策、という帰結となる。

所得増加なきインフレで貧困層が急増し社会問題化した場合に、現実を直視する政権か「一時的なもの」と目を背ける政権か、さて、どちらなのだろう。

 

以上。2022.06.10