常春常秋が理想
リゾート地といえば、ビーチリゾートが楽しめる亜熱帯地方を思い浮かべる。あるいはスキーリゾートとして多雪地帯を挙げる人もいるかもしれない。
だけど、私は暑いのも寒すぎるのも嫌ですね。
年間を通じて10~20℃の気温範囲、常春常秋の所が理想だ。具体的に地名を挙げるならエクアドルのキトとかコロンビアのボゴタ等、熱帯緯度の高山都市だろう。昼夜の気温差は大きいが、年間の気温変動がほとんどない。もちろん実際生活するには治安や経済面に問題が多々あるが、気候だけを見れば理想的だ。
年間の気温変化がないと身体への負担が非常に少なくて済むそうだ。標高が高い分心肺機能に負荷がかかると思うが、標高2400mの富士山新五合目でも全然平気だったので問題にはならないだろう。それよりも、暑くて熱中症になるとか寒くて関節炎が痛むとか季節の変わり目で体調がすぐれないとか、そんな要因がないのが好ましい。
暑さ寒さは苦行ですよ。そしてその苦行を乗り越えたからって何がありますか?見た目の景色が美しいという悟りでしょうか。だけど心身に不調を抱えながら悟りの境地にたどり着くなんて無理無理。
実現可能性を無視すれば、春と秋以外は外出せず快適空調空間の中で生活を完結させるというのはどうか。大きなビルに買い物や医療や教育機関等生活関連施設が全てあってその上の階に居住する。理想的だろう。だが、そんな膨大なエネルギーを消費する施設には住みたくない。やはり暑くなく寒くない現地で暮らすのが環境負荷をかけない方法だ。
エクアドルはリタイア後に移住したい国のトップらしい。実際に大量の高齢米国人が移住しているという。通貨を米ドルに切り替えたこと、容易にリタイアメントビザが取得できることが理由のようだ。
だがその高齢米国人が現地の人たちに溶け込んで暮らしているかと言えば、ノーだろう。まず言葉の問題がある。高齢米国人がスペイン語を自ら学ぼうとするだろうか。おそらくは米国人コミュニティ(高級分譲地等)に集住し、あるいはゲーテッドコミュニティを形成しているのだろう。
そんな移住の仕方は日本人から見れば望ましいとは思えないが、米国内にはイタリア人街とか中華街とかが普通にある。その延長で自分らが米国人街を成しているといった認識なのだろう。
老後を優雅に過ごすとは全く対極だが、かつては多くの日本人がハワイや南米に移住した。国内ではとても食べてゆけないので海外に入植して畑を耕す、という動機であり、大きな人数規模での入植もあった。まず入植者の互助組織としての日本人コミュニティが生まれ、年代を経るにつれて日系人社会が形作られた。この日系人社会は現地社会との垣根はなく、例えば日系3世以降は現地の言葉しか話せない層が大半だ。
エクアドル内の高齢米国人は、俺たちは金持ちなんだぜ貧乏なお前らとは違うんだぜ、薄汚いお前らとは一緒に居たくないんだぜ、などとオラついているのではないか。一方的な思い込みかもしれないがそんな姿が容易に想像できて気持ち悪い。
国内であれば私は旅先で地元の人と間違われたことが多々もある。簡単に地元民になりすませる。残念ながら海外ではその手は通用しない。否応なく現地社会に溶け込まざるを得ない。英語さえできれば、というのは幻想であってまずは現地の言葉が必要だ。
移住国を決め、言葉の習得に最低1年、現地に3か月滞在、その期間中にあちこちを見て回り住めそうなところを見付ける。書類その他の手続や準備に半年、再度現地3か月の間に物件探し、そして移住と、ある程度長期的な手順を踏む必要がある。
行動するエネルギーもそして経済的な蓄えも必要だ。特に後者、それがない現状では、夢を描くだけしかできない。そして年々前者も減退してゆく。日々の世の中に拒否感を抱えながら現実可能性のない夢を紡いでゆく、貧乏な庶民にできることはその程度なのかな。悲しいなー。
以上。2022.11.18